郵便の制度は古代からあったが、ヨーロッパではおおむね公用(王室)の書信を運ぶためのものであり、一般大衆の利用は許されなかった。中世以降、民間の書信も扱う機関も生まれたが、王室の直営であるか、民間であっても、パリ大学の「大学郵便」・ドイツの「肉屋郵便」・「修道院」「騎士団」の飛脚・ハンザ同盟の「商業通信」など、特定の利用者のために開かれたにすぎなかった。
今日のように広く一般の利用に供せられる郵便制度は、1840年イギリスにおいて創始されたのである。近代郵便の特徴は、①国家の経営するものであること、②同一種類の郵便物は一定の重量ごとに送達距離の遠近にかかわらず均一料金であること、③料金は前納すべきものとしたこと、④だれでも定められた料金を支払うことによって利用できること、いわゆるユニバーサル制度となっていることである。