郵送手段の進歩

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 郵便は政府・国家の事業として経営されているわけであるから、利用者である国民は、郵便は確実に、安価に、そして迅速に送られることを信じ、期待もしている。特に迅速性は輸送手段に影響されるものであるから、その時代時代、でき得る限りの交通機関を用いて、一刻も早く送達できるように努力してきた。
 創業の当初は専ら脚夫の足(脚力)によって郵便物が運ばれたが、やがて馬車、鉄道、船舶を利用するようになった。但し、これらに搭載するまでの区間は、なお、人力に頼るところが大きかった。
 明治44年(1911)2月、「速達郵便」が東京・横浜の両都市と、その相互間で始められた。この時、初めて「自転車」が用いられた。速達は翌年、京阪神でも実施されたが、それ以外の地方では、遠方まで特別に速く輸送する手段がなかったため普及しなかった。
 自動車による輸送は1920年代に始まった。関東大震災(1923)による鉄道の壊滅がきっかけになったのである。郵便物輸送の乗合自動車・貨物自動車路線は、大正の末期から昭和にかけて大いに拡大していった。
 大正8年(1919)東京・大阪間で郵便物の飛行機による輸送「飛行試行」が行われた。「航空郵便」の制度が正式に発足したのは、昭和4年(1929)4月のことである。
 昭和12年(1937)年4月、郵便料金の値上げを行い、この財源の一部を当てて、同年8月から「速達郵便」が全国に実施されるようになった。速達の扱いを指定すれば航空路線のある区間は航空機で運ばれた。
 昭和44年(1966)10月からは通常郵便も航空機によって運ばれるようになった。