付帯事業

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 政府・郵便局の取扱う業務は、欧米の先進諸国に於ては郵便の他に、早くから金融や保険の事業を営んできた。その先鞭をつけたのも、やはりイギリスである。1838年郵便為替、61年貯蓄銀行、64年には保険及び年金業務を取扱うまでになっている。
 明治8年(1875)わが国の郵便局でも「貯金業務・為替業務」が始められた。
 同18年(1885)貯金については、一般の関心が薄く規則も複雑であったためかあまり利用されなかったが、為替については、通常為替のほか電信為替や小為替も取扱うようになり、同年、万国郵便連合の郵便為替交換条約に加盟、外国為替も大いに利用されるようになった。ただ、こうした取扱いができるのは少数の郵便局に限られていた。
 明治も30年代に入ると、これらの業務は殆どすべての郵便局で取り扱うようになり、同39年(1906)には郵便振替の制度が創設された。これは世界で3番目である。貯金も日露戦争(1904~5)の後からは目覚ましい伸長を示した。同43年(1910)には口座数千百万、預金高1億7千万円に達した。
 「簡易生命保険」が創設されたのは大正5年(1916)である。
 全国の郵便局を利用して、広く大衆のために簡易な小口の生命保険を普及することを目的としたものであった。これに続いて大正6年(1917)郵便年金が発足した。国民の生活安定をはかることを目的とした事業は着実に発展したが、戦後のインフレによる契約額の価値の下落、さらに各種の年金制度が普及するにつれて、昭和43年(1968)以降は新規の契約を中止している。
 昭和40年代(1965~)には、経済の高度成長にともない郵便貯金も簡易生命保険も発展を遂げ、昭和48年度(1973)の郵便貯金の現在高は15兆円を突破、ひとつの機関が取扱う貯金額としては世界の最高となった。簡易生命保険の資金総額も4兆円を超え、契約件数5千万件に近く、全国民の半数近くが利用していることを示している。