平成4年度恵山町教育委員会は、教育課程改訂という時宜を得、多様化する社会情勢の中、教育の現状を分析・把握し重点教育目標を設定、年次ごとに課題・実践・評価のサイクルをもつ、中長期−およそ5年を1つのサイクルとし教育推進計画をたて教育の実を上げることとした。
まとめられた『第一次恵山町教育推進計画』の巻頭で、教育長山田忠昭は“恵山町教育推進計画策定にあたって”と題し、次のように述べている。
恵山町の教育は、昭和五四年九月制定の『恵山町町民憲章』を指針として、恵山町のもつ自然や文化を生かした特色ある教育を指向し、その年々の恵山町教育行政執行方針により、学校教育・社会教育を両軸に推し進めてまいりました。
今、恵山町の豊かな町づくりは、豊かな人づくりにあり、豊かな人づくりは、豊かな教育・学習にあるということを基本理念に諸政策を講じております。今日、多様化する社会情勢の中にあって、地域住民の教育に対する関心は極めて高く時代の進展に即応した教育のあり方が強く求められております。また、高齢化社会における生涯にわたっての自己啓発や、向上のための学習の重要性が認識されてきております。学校教育・社会教育とも生涯教育の理念に立って活動が進められているところであります。
幸い今年(平成四年)は、新しい教育課程へ逐次移行される大事な節目の年であります。これを契機に恵山町の教育計画を、今一度見直し新たな視点に立って、しっかりとした教育を進めるための中長期の教育目標を樹立すべく「恵山町教育推進重点目標策定委員会」を設け、鋭意検討を重ねてまいりました。
この度、答申がなされ、新たな『恵山町教育目標』を制定することができました。
策定にあたられた委員諸氏のご労苦に深く感謝申し上げます。
私どもは、この目標を基本に「幼・小・中・高」一貫教育の体制強化、父母・地域社会との連携・協調など、学社両面にわたっての教育力を高め、第一次教育推進計画スローガン“心豊かに輝き 未来をめざす 海峡の町恵山の教育”が着実な成果をおさめるよう努力しなければなりません。恵山町教育目標が、不変的道しるべとなって、「ふるさとを大切にする」「ふるさとにこころをとどめる」という視点に立った教育の実践を強め、恵山町の人づくり構想の実現に資することを願ってやみません。
前節で、昭和27年(1952)発足以来の教育委員会の沿革について記してきたが、教育委員会・事務局が、このような中長期教育推進計画をたて教育行政にあたった記録は見当たらない。また、町教育目標についても、時代的、社会的変遷−期待される人間像あるいは教育観・価値観の多様化など−を経たにも関わらず、発足時の設定のままを踏襲してきている(勿論、教育目標の普遍性・不変性については否定できないが)。
町教育委員会がこの時期、教育行政施行方針を立てるにあたり、中長期の教育推進計画を委員会を立ち上げ組織的・継続的に推進していったことは特筆されるべきことであろう。
〈この計画は第1次から第3次まで3回にわたり委員会が設置され計画化された〉
“心豊かに 輝き 未来をめざす 海峡の町恵山の教育”
第1次恵山町教育推進計画(平成4年度から平成8年度)
“学ぼう 歩もう 未来に向かって いきいき恵山の教育”
第2次恵山町教育推進計画(平成9年度から平成13年度)
“豊かな未来をめざし 学び合い 高め合い ひとみ輝く恵山の教育”
第3次恵山町教育推進計画(平成14年度から平成18年度)