この遺跡は標高五十メートルで、山間の遺跡でも低い丘陵に遺跡がある。国道と絵紙山の麓をぬけて浜町に向う道がある。絵紙川と矢尻川の合流する地域が山に囲まれた平地で、五ノ井正二氏所有地となっている。この平地には珍らしく梅林がある。道南地方で梅を栽培できる気候条件はないといってよい。山に囲まれた地域だけに梅の生産が可能なのである。平地を囲む杉林も道南では珍らしい。
遺跡は梅の栽培地から五ノ井氏の住宅にかけて広く分布していると考えられる。北海道教育委員会の調査では時期不明とあるが、採集した土器片から縄文後期と考えられる。土器片を採集した地点で地層調査したが、表土の下にある黒色土層が三十センチメートルほどで、その下部は黄褐色土層が三十センチメートルほどで、その下部は黄褐色土層である。時期的に短かい時期先史の人達が住んだ場所であるかも知れない。土器の特色は比較的焼成が良好で、単節斜行縄文の上に細くて鋭い工具で施文した刻線文がある。横位と斜行の複数の刻線文で、土器内面はヘラ状工具でよく仕上げられている。