明治初期の村役人は行政面だけでなく教育・警察・消防・保健衛生等の中心となって活躍していたが、この他にも海岸線に位置する村々では、浦役人として難破船の救助と事実確認、漂流物の取扱事務等の仕事を行うことを開拓使から命ぜられていた。
明治十年の函館支庁日誌に浦役人に関する規定があるので記し、その後、戸井分署管轄下の浦役場と浦役人についての資料を記すことにする。
『函館支廳日誌』 明治十年 自第四号至第六号
(第二十二号達〓)
沿海市在 浦役人
浦役人心得
第一条 浦役人ハ明治八年四月二十四日布告第六十六号内国難破及漂流物取扱規則ニヨリ取扱致スベシト雖モ警察事務税関事務其他主管アル事務ニハ関与セザルモノトス、
第二条 浦役人事務多端ナルトキハ町村用係ヲシテ補助セシムベシ、
第三条 難破船等有レ之事務取扱ノ間ハ給料一日三拾銭ヨリ多カラズ二拾銭ヨリ少ナカラザルモノトス、
第四条 浦役人合議ノ時ハ其内一名ハ必ス他ノ区又ハ他村ヨリ出スモノトス、
第五条 難破船之アルトキ人足雇賃ハ一人ニ付給料一日二拾五銭ヨリ多カラズ拾五銭ヨリ少ナカラザルモノトス、
第六条 難破船等有レ之小舟雇賃一日金壱円二拾五銭ヨリ多カラズ七拾五銭ヨリ少ナカラズト雖モ實際労役ノ難易ヲ量リ増減給与ス、