昭和十八年地方制度の改革

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 昭和十八年第二次世界大戦の戦局がますます逼迫する中で、政府は『わが国の自治制度は、本来大政を翼賛し、国家目的を達成する制度である』という見地から、地方制度全般にわたる改革が行われることになった。
 すなわちこの法改正の趣旨は、『時局の急迫に伴い国家の施策はいよいよ広範かつ繁多となり、これが遂行具現については市町村の活動に負うところが多大であり、とくに防空・生活必需物資の配給確保・貯蓄の増強・食糧増産・労務の供出等に関しては、その機能の十分なる発揮にまたなければならないが、市町村の現状はこの時局の要請にそい難い点が認められるので、この際、市町村行政について根本的刷新と高度の能率化とをはかり、もって国策の浸透徹底と国民生活の確保安定に万全を期せんとするものである』(新北海道史第五巻)であり、この趣旨にそって主なものとしては次のような点が改正されたのである。
一 部落会・町内会を法制化して行政機構の末端として位置づけること。
二 市町村における市町村長の権限を強化すること。
三 市町村長を中央政府の統括下に置くこと。
 すなわち戦時体制化という名目の元に、地方自治の範囲をせばめ、中央集権の力を強大化し戦時行政をおしすすめようとするものであった。次に市町村行政ではどのような変化がみられたかを簡単に記すことにする。
 
・市町村長 従来市町村会により選任されていた市町村長は、改正後市町村会において選挙し、北海道庁長官の認可を受けることになった。
・助役 従来市町村長が任命していた助役は、これ以後知事の認可を受けることになった。
・市町村会 市町村会の権限が縮少され、議決すべき事項の内容がせばめられた。
 例えば、市町村会は予算の増額修正をしてはいけない。
・市町村団体 市町村長は市町村内の諸団体に対して各種施策の総合的運営を図るために必要と認めるときは、所要の指示をすることができる権限を与えられ、更に指示に従わない場合は、市町村長はその団体の監督官庁の措置を申請できることになった。
・町内会・部落会 市町村長は、町内会・部落会及び連合会の長に、その事務の一部を援助させることができる。(法制度の中に町内会・部落会が位置づけられる)
・国政事務委任 市町村及び市町村長に対する国政事務は以前は法律又は勅令を必要としたが、改正後、法律又は各種の命令によっても委任できることになる。(新北海道史第五巻より要約)