地方自治の民主化

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 戦後改革の一環として昭和二十一年九月地方自治の自立と民主化政策がとられ、更に戦時行政の指導者を公職から追放し、新しい民主的政治体制の確立を促す政策がとられた。普通これを第一次地方制度改正というが、その内容は、住民が地方自治に参加することによって地方自治に対する関心を高め、身近な所から民主政治の確立を図ろうとしているものであった。すなわち成年男女による普通選挙・衆議院議員選挙・市町村議会議員及び市町村長の選挙・住民の直接参加による地方政治(リコール・解散請求・条例制定の要求等)・地方議会の権限強化・その他地方行政事務の公正化を図るための各種委員の設置などが盛り込まれている。
 この他北海道関係では、北海道にのみ施行されていた特例法である指定町村制度が、この第一次地方制度改正の時に同時に廃止され、以後は他府県と同じ制度下に置かれることになった。これより以前北海道は、『北海道会法』・『北海道地方法』の適用を受け、町村は指定町村制のわくの中にはめ込まれ、中央からの強い指導下に置かれていた。
 すなわち指定町村制は戦時中の昭和十八年、北海道一・二級町村制が廃止されたときに設けられた制度で、指定町村では(一)助役・書記は各支庁長が任命する簡単な内容の事項は、書面の持ち回りによる議決が出来るなどの特殊な取扱いが認められていたが、これらが全て廃止されることになったものである。
 この他連合軍総司令部の昭和二十一年一月の覚書により、軍国主義者や国家主義者を中央の重要ポストの公職から追放するように指令され、更に翌二十二年一月からは地方の戦時指導者もきびしく公職から追放するように命ぜられた。
 この結果昭和二十年九月以前から昭和二十一年九月までに町内会・部落会などの長や、市町村の要職にあったものは、以後四年間は地方公共団体の職員になることが出来ないように定められた。
 昭和二十二年四月十七日、地方自治法公布(五月三日施行)。
 この法律の施行により従来の中央集権的な絶対的官僚体制が打破され、地方住民にかかわる行政部分は、ほとんど地方自治体に任かせられるようになり、警察・教育・選挙等の分野を担当する地方の組織がつくられるようになった。
 かくて昭和二十三年三月自治体警察の発足、同じく二十三年十月、道・市町村教育委員会の設置(選挙による委員選出)等があり、その他首長の選挙では道知事・市町村長は、住民の選挙により選出され四年の任期をもち、地方行政を執行する住民の代表者として、かつ地方議会の決定した意見に従ってこれを執行する任務を有することになった。
 その後昭和二十六・七年頃から占領政策の見直しや、講和条約の締結による日本の自主的な歩みを見定めようとする動きの中で、昭和二十九年警察法が改正され、それまでの国家地方警察と自治体警察が全て廃止され、新たな自治体警察として統合発足した。
 更に昭和三十一年、地方公共団体の運営の円滑化と合理化を目的とする『地方自治法』の改正があり、同時に『教育委員会法』が改正され、教育委員の公選制の廃止などが行われた。