戦後地方自治体の財政調整制度として制定されたものに、昭和二十五年の平衡交付金の制度がある。
平衡交付金は、地方自治体が等しく事務を遂行できるように、国が地方自治体に交付する交付金であるが、次のような交付条件が定められている。
① 地理的要因により産業の不振な地方。
② 土地条件及び気候的影響により災害を受ける度数が多い地方。
③ 積雪・寒冷のため暖房に要する施設費や燃料費が極めて大きい地方。
④ 人口の急激に膨張した地方。
⑤ 人口密度の著しく稀薄な地方の特殊事情を勘案すること。
戦後地方自治体は、六・三制の実施による校舎建設・社会福祉事業の強化・災害・凶作・凶漁等の対策に、多額の費用を必要としていたが、長い戦争によって落ち込んでいる経済状態の所へ、増税による税収入を求めることは不可能であり、更に昭和二十五年より実施された平衡交付金の制度もまた、国の財政力が弱体化していたため、充分に地方公共団体へ交付金を配分できないような状況であった。
このため昭和二十五年から同二十八年にかけて全国に赤字町村が続出し、昭和二十八年には全国で約千四百五十もの町村が、赤字を出すような有様であり、赤字を借金によってまかなおうとするため、いわゆる『赤字が赤字を生む』というような現象が見られるような状況であった。