・分布と漁場
スケトウ鱈は、北方水域に広く分布する寒海性の魚類で北海道の太平洋側には二つの系統群が存在している。
・A型系統群(襟裳群)
産卵前沖合分布期の生活場所が日高東部にある群
・B型系統群(恵山群)
地球岬の南東から恵山岬に分布の中心がある群
かつて繁栄を誇つていたA型系統群は、昭和三十二年以後は衰退し、かわって昭和三十三年頃からB型系統群が、スケトウ鱈の主群を形成するようになり、漁場は日高沖から恵山岬中心に変わった。
スケトウ鱈の漁期は、産卵前沖合分布期の九月頃、地球岬から恵山岬にかけての水深二百五十メートルから四百メートルの水域で漁獲の対象となる時期と、産卵期の十二月から三月頃にかけて百メートル以下の水深の海域に移動する時期がある。
・資源の動向
昭和三十六年から昭和三十九年にかけての漁獲量の増大は、系統群の交代による資源再生産力の増大、昭和三十一年から昭和三十五年まで資源補充群の大量添加等によるものと考えられている。
しかし昭和三十六年の資源添加量の不足、三十九年級群の幼魚の減耗などの現象を見ると、将来もスケトウ鱈資源が常に安定した再生産を約束できるといえる状態には置かれていない。
スケトウ鱈は、漁業による影響を比較的受けにくい魚種といわれるが、反面系統群の交代、発生年級群の量的な変動があることなどから、資源量は年により変動する特徴をもっており、将来も高い水準で漁獲量の変動が起きることが予想されていた。