塩辛の製法

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 先に記した『北海道漁業志稿』によれば、明治二十二年頃の塩辛の製法について次のように記している。
 
   『塩辛』の製法は前文鯣製造に述る最初の乾上げを為したる後適宜に重ね、巾一分より廣からざる様横に刻み尾も之に應じて刻み、之を二斗樽へ納れ鹽一升を混合し、よく攪拌して目なる笊に入れ河水に灌ぎ再び攪拌し、濁汁の全く流れたるを度とし葭簀(よしず)に傾け其中に巻込み、尚漏泄せざる様前後藁縄にて結堅めるなり、此時塵芥、土砂等の混入せざる様注意すること緊要なり。斯くして巻込たる葭簀は家屋或は倉庫内にて日光を承けず、風気の流通よき所を撰み板を以て挾み、之を土間に置き五貫目より七貫目位迄の石等を載せ二週間を経たる後直に簀より樽に傾け、鹽二升より二升五合、糀二合五勺至五合(二斗樽の割合)を樽中に撒布しよく攪拌す。其撒布方は厚薄なきを要す。攪拌し了れば蓋を掩ひ周圍に石灰を塗布し空気の侵入せざる様注意すべし。