漁業組合令の制定

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 その後明治三十四年漁業法が制定され、更に明治四十三年には同法が改定され、同年十一月には勅令により『漁業組合令』が公布された。
 この改定により「漁業組合は漁業権若くは入漁権を取得し、又は漁業権の貸付を受け、組合員の漁業に関する共同の施設を為すを以て目的とする」と定められ、漁業組合は漁業権の管理者から前進し、共同施設を持ち経済的活動を共同により行う団体となった。
 共同事業の内容は共同販売・蕃殖保護・共同購買・遭難救助・漁業資金貸付などである。
 次に明治四十三年十一月十一日に公布された『勅令第四百二十九号、漁業組合令』から主な関係条例を記してみることにする。
 
  第二條 組合ハ其ノ名称中ニ漁業組合ナル文字ヲ用ウヘシ
  第六條 組合ノ設立ニハ組合ノ地区タルヘキ区域内ニ住所ヲ有スル漁業者五人以上ノ発起人アルコトヲ要ス。
  第七條 発起人ハ左ノ事項ヲ組合ノ地区タルヘキ区域内ニ住所ヲ有スル漁業者ニ通知シ組合設立ノ同意ヲ求ムヘシ
    一、地区タルヘキ区域
    二、目的及事業ノ概要
    三、同意表示ノ方法及期間
  第九條 発起人ハ組合ノ地区タルヘキ区域内ニ住所ヲ有スル漁業者三分ノ二以上ノ同意ヲ得タルトキハ遅滞ナク創立総会ヲ招集スヘシ但シ組合ノ地区タルヘキ区域カ二部落以上ニ亘ルトキハ各部落毎ニ其ノ区域内ニ住所ヲ有スル漁業者三分の二以上ノ同意ヲ得ルコトヲ要ス。
      特別ノ事由ニ因リ前項ノ同意ヲ得ルコト能ハサルトキハ地方長官ノ認可ヲ得テ創立総会ヲ招集スルコトヲ得。
  第二十條 本令中別ニ規定アルモノゝ外左ニ掲クル事項ハ組合員総会ノ決議ヲ経ヘシ、但シ第八号ニ掲クル事項ニ付テハ規約ヲ以テ別段ノ規定ヲ設クルコトヲ得。
    一、経費ノ収支予算
    二、経費ノ分賦収入方法
    三、漁業権又ハ不動産ニ関スル物権ノ得喪、変更
    四、其金ノ支出又ハ其利用方法
    五、予算外ノ支出
    六、負債ヲ起スコト
    七、組合員ノ除名
    八、組合員ニ非サル者ニ対スル漁業権ノ貸付又ハ入漁権ノ設定、得喪若ハ変更