道南地方の主要地点である大野・森・山越内・室蘭等では、明治五年十月一日から郵便取扱所が開設され、普通・通常郵便物が取り扱われるようになった。(なお郵便取扱所はたいてい駅逓所に併置されるが、郵便取扱者の自宅で仕事をすることも許されていた。)
その後明治七年七月から郵便取扱所は郵便役所と改められ、更に明治八年一月一日からは現在のように『郵便局』と呼ばれるようになった。(慣習として役所の文書などで、これ以後も取扱所・役所・局の呼び名が混用されている。)
前に記したように道南の主要地点では、明治五年から郵便が実用化されていたが、下海岸地域の村々では、郵便取扱所が開設されていなく、官用書状や一部重要書状が駅逓により、わずかに逓送されているのみであった。
このため、地域住民からより便利な郵便制度の実施が一日も早くおとずれることが望まれていた。