戦後、国の経済の混乱のなかで、郷土の前沖はイカ漁の全盛期を迎えた。
食糧の買出しは終戦前後のことであった。コンブを採り、イカ(鯣)などの海産物がある沿岸の村々には、本州から米など食料品を積んだ仲買船が往来した。
しかし、三〇年前後にはイカ漁が下降線をたどる。漁船はイカの回遊を追って道東方面への出漁がつづいた。一方、各漁協や漁家は、イカの凶漁に代わる魚族、海草類の増養殖に真剣に取り組み始めていた。
昭和三二、三年ごろからニジマス・サクラマスの養殖を試みる漁協・漁家もあった。
育てる漁業