戦後の物資の欠乏のなかで、イワシの漁獲が全般に減少したため魚油の不足から、すでに試みられていたイカの内臓利用、いわゆるイカ油の製造が盛んになった。
従来も僅かではあるが、イカの内臓を塩蔵にして食料にしたり、また、畑に運んで肥料にしていた。しかし、スルメの加工にイカ裂きをするとき、イカの内臓はほとんど海浜から海中へ投棄された。
イカ油の製造は、はじめ漁家から無料のように譲り受けて思わぬ利益を得たが、翌年からは激しい内臓集めの競争となった。
イカ油の原価計算
煮 取 法 採油歩留 一二%
原 料 四〇〇貫 @一五円 六、〇〇〇円
運 賃 @二円 八〇〇円
燃料費 一、〇〇〇円
人件費 男一人 五〇〇円 八〇〇円
女一人 五〇〇円
設備償却 一、〇〇〇円
計 九、六〇〇円
販売価格 一三、〇〇〇円
利 益 三、四〇〇円