漁業法改正

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 九年後の明治四三年、漁業法は全面改正されて
  沿岸漁場秩序を規制する漁業権制度
  沖合遠洋漁場秩序を規制する警察許可制度
  資源保護のための漁業警察制度
が確立された。
 沿岸漁場における専用漁業権は、旧来の入会漁業の関係をみとめ、定置漁業権、区画漁業権、特別漁業権は旧来の個別独占漁場の関係を組み入れたものとなった。ならびに、共有の性質を有しない入会権は、入漁権および許可漁業、自由漁業に組み替えられたが、明治末年から大正にかけて急速に進んだ漁船の動力化はこの矛盾を決定的なものとする。
 慣行の継承を固定化させたことは、漁場利用を一層歪め、免許の出願主義は漁業権の財産権化を助長した。一度許可された漁業権は、存続期間の更新制度によって半永久化するに至った。
 権利者は自営、休業、権利貸によって高い場代金を得ることもできた。制度の欠陥は常に定置漁業などの大規模な漁業権行使に象徴化され、大漁業家と零細漁民の格差をますます選りわけていった。