臼尻村の愛林思想は、二代戸長篠田順の熱意によるところが大きい。
明治一九年、臼尻村戸長篠田順は総代人等に諮って、「精良ノ種苗ヲ年々購入シ、之ヲ村民各戸ニ貸付ケ苗圃ヲ造ラシメ、而シテ培養シタル苗木ヲ、一戸平均一〇〇本若クハ二〇〇本宛、種子代辨償ノ儀トシテ、植林ノ労力トモ寄附セシメ、斯クスルコト殆ンド二〇年間。
明治三九年ニ至ル。同四月一日ヨリ二級町村制施行セラルヽニ至リ、同四〇年ヨリ苗木代ノミ造成費ヨリ支出シ、労力ハ依然寄附行為ニテ事業ヲ続行セリ。
現今マデノ其ノ経費総額七九五円ニシテ、内三一五円六〇銭ハ、初年ヨリ明治三八年ニ至ルマデ植樹造助費トシテ支出シ、同三九年ヨリ四三年ニ至ル間ニ、一四九円五〇銭ノ管理費ト、三二九円九〇銭ノ植樹費ヲ支出セリ。
管理方法
毎年春季融雪ノ候、山火事ノ虞アルヲ以テ、山番人ヲ雇入レ巡視セシメツツアルモ、枯損兎鼠ノ被害、盗伐予防ノ為ニハ常置看守ノ必要アリ、従来、以上ノ被害ニ罹リ減損シタルモノ約三分ノ一ニシテ、目下四一万三、〇〇〇本ナリ。
之ニ年々補植ヲ怠ラズ、確実ニ樹数五〇万本ヲ存立シ、今後二〇年后ニ於テ、平均一本金五〇銭ト仮定シ、総額二五万円ヲ得ントスル予定ナリ」
「本村ニ、北海道地方費森林監護員駐在所アリ」(臼尻村郷土誌)
と記している。