昭和五九年五月、当山住職高橋崇行師(昭和二六生)の方丈晋山式の大行事がおこなわれたが、これに先だって覚王寺では、晋山式のために本堂の大改装がなされた。
この大改装に当たり本堂正面の天保七年寄進の龍宮庵須弥壇も、改修のため解体されて札幌の仏具店善光堂へ送られた。後日、善光堂に照会すると、古材を改修するよりは新調の方向で事がすすめられることになったので、不用となったので今では解体材を探し出すことは不可能だという返答であった。
制作年月日や奉納寄進者名が明記されていた須弥壇は龍宮庵覚王寺にとって最重要の仏具であり財宝であったが、このような顚末で不帰の運命をたどったことは惜しまれてならない。今となっては、照明がわるくて露出不足のため不良な写真であるが、本史上巻に掲載の三枚の写真が唯一の証となってしまった。