衣装

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衣装は、白い肌襦袢の上に赤い女柄の長襦袢(唐縮緬)に黒襟をつけたのを着流し、兵児帯をしめる。白の股引をはく。襷がけに向こう鉢巻きをしめ、うしろに白扇を二本立てる。
 昭和四〇年ごろから「安浦駒踊り」と染めぬいた、揃いの浴衣を着るようになった。
 臑には脚絆をつけ白駒は白足袋、黒駒は黒足袋をはき、草鞋(わらじ)を履く。手甲ははかない。
 両手の中指と足の中指に白紙を結えて踊る。
 前掛けは、女の踊り手が加わったときから用いられたといわれ、長襦袢の下に締める。

安浦駒踊り(婦人)

      小道具
       駒おどり
        駒 太刀 小刀 薙刀 棒 杵 扇
       囃し方
        大太鼓 小太鼓 鉦拍子 笛
 駒は、白駒と黒駒の二種で牡・牝の区別はない。
 駒は各自が自分の手で作り、自分で手入れをする。駒も道具も他人には手を触れさせなかった。
 駒作りは、頭部は朴の木を素材につくる。きめられた大きさや形に木を削ってつくるが、立髪と尾は麻でこしらえ、立髪はピンと立つように付ける。胴体は樽木で形を組み、臀部は笊で円みをつける。
 型ができると、その上から白または黒い布をかぶせて胴体を仕上げる。首に大小の鈴を五つぐらいつけ、大きな鈴を真中にする。眼と轡は金銀の紙で形どって貼る。
 駒の飾りの紋は、自分の家の紋をめいめい描いた。現在は巴の紋に統一されている。
  〽板木駒踊り ナニモッテコセダ(作った)
   頭 木ノ根ッコ ケツ(尻) ザルダ(笊)……
 刀は戦争前は真剣を用いたが、戦争中、供出献納したので一時木刀を使い、現在は玩具用の刀を用いている。
 小松正治の頃は公演の前夜、〓砂田家に総勢集まって足揃えをおこなう。
 家の前には、長い棹にとりつけた提灯を高くかかげて、駒踊りの宿であることを告げる。その夜は宿から外へ出ることを禁じた。のちには、神社で足揃えをするようになった。