解題・説明
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享和2年(1802)の年記と秦檍麿の落款がある扇面画、および村上檍丸の依頼により国学者・歌人の萩原元克(1749〜1805)が作った「蝦夷開国之寿歌」を合装したもの。村上島之允(1760-1808)は秦檍麿(丸)ともいい伊勢の生まれ。寛政10年(1798)幕府の蝦夷地探索に同行。その一行には近藤重蔵や最上徳内らがいた。その後も蝦夷地の測量、漁業や農業の指導などを行い、『蝦夷見聞記』『蝦夷島奇観』などのアイヌに関する書物を刊行した。扇面画にはアイヌの男女(夫婦か)と子供が簡略な筆致で描かれている。書画に秀でていた島之允らしく手慣れて的確な描写である。民俗学者馬場脩の寄贈による。
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