解題・説明
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『蝦夷人鬚髪図説』と『蝦夷人膃肭臍猟図説』の二巻からなる写本。『蝦夷人髯髪図説』はアイヌの人々の髪型について、『蝦夷人膃肭臍猟図説』は膃肭臍(オットセイ)漁について絵と文で解説したものである。『蝦夷人膃肭臍猟図説』には天候を読んで出漁し、漁の経過と漁を終えて陸に上がり、南の窓から膃肭臍を家に入れる様子が描かれる。さらに膃肭臍を会所へ差し出す様子を描写(会所では米や酒などを支給された)。最後に、塩漬けにしたオットセイの手足を縛ったもの(ウココム)、オットセイの陰茎(タケリ、強壮剤として珍重された。漢方では海狗腎という)、百尋(カンカン、腸のこと)などが描かれている。寛政12年(1800)頃に『蝦夷島奇観』を著作した村上島之允(秦檍麿)は、『蝦夷島奇観』の「膃肭漁部」を増補する形で文化元年(1804)に『膃肭臍漁猟部』を、ついで『蝦夷髯髪図説』の著述にかかっている。なお『蝦夷島奇観 膃肭獣漁猟部』として伊勢神宮に奉納された。
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