解題・説明
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『狩猟之図』『漁猟之図』の双幅からなる。『狩猟之図』は獲物の雄鹿を背負った男性と彼に従う犬が、『漁猟之図』では舳先に立ち海面を見つめる男性と中ほどで舟を漕ぐ年長の男性が描かれる。どちらにも朱文円印「雪好」が捺されている。雪好は生没年や経歴などが不明であるが、およそ文化文政期(19世紀初め)ごろに活躍していた絵師と考えられている。雪好画には癖のある顔貌や硬直して動きの少ない体軀表現など類型化した点も見出せるが、一方で鹿や犬や波などの濃淡をつけた陰翳表現、人物の体毛や動物の毛描きなどは丁寧に描かれている。このような描写方法には、アイヌ絵を描いた他の絵師とは異なる特徴がみてとれる。
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