解題・説明
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箱館周辺の名所を瀟湘八景にちなんで描いた作品。瀟湘八景は中国風景画の伝統的な画題で、日本では近江八景や金沢八景などさまざまな八景が描かれている。画者の早坂文嶺(1797-1867)は松前を中心に活躍した絵師で、アイヌ絵のほかにも幅ひろい画題の作品を残している。扇形の紙二枚に四か所ずつの名所が描かれ、各絵には異なる賛者による賛が付されている。賛者は、亀田落雁(賛・肝付桜嶼〈嶋〉)、称名晩鐘(賛・安間心斎)、水源夜雨(賛・塩田松園)、立待秋月(賛・力石緑昔)と駒嶽暮雪(賛・鎮台 堀公)、七重晴嵐(賛・菅野蕙塢)、弁天夕照(賛・鈴木茶渓)、山背帰帆(賛・玉虫拙斎)である。
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