解題・説明
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天明2年(1782)12月、伊勢白子の港を江戸に向けて出航した神昌丸(船頭光太夫)であったが遭難、漂流のすえ翌年7月ようやくアリューシャン列島のアムチトカ島に漂着した。その後ロシアに留めおかれ、寛政4年(1792)ロシア船エカテリーナ号で帰国。出発時17名いた乗組員のうち帰国したのは光太夫、磯吉、小市(帰国後まもなく病死)の三名のみであった。翌年9月光太夫と磯吉は将軍家斉に謁見する。本作はこの時の洋装姿の光太夫と磯吉を描いたもので、光太夫は42歳、磯吉は28歳であった。この場面を描いた作品は数多くあるが、それらと比べると本図の二人は実年齢よりも若く描かれている。
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