解題・説明
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嘉永6年(1853)6月、日本に来航したペリーら一行を描いた三つの場面からなる絵巻で、同年9月幕府歩士西村正信による序文がある。はじめに日本に開国をせまるアメリカ大統領の国書を携えて浦賀に上陸したペリー一行とそれを出迎える浦賀奉行戸田伊豆守、井戸岩見守らとの対面の様子を俯瞰的に描く場面があり、ついで兵士や楽隊らの服装などを描いた場面が続く。この二場面は序文によれば谷文一の手になるという。最後の場面には浦賀与力細淵某筆によるペリーらが乗船してきた帆船と蒸気船の二種類の船が描かれている。ペリー来航という歴史的な一大事は数多くの絵師たちなどによって描かれ、さらにそこからおびただしい写本が作成された。序文を書いた西村正信の経歴は不明だが、本作以外にも「西村正信」の名前が記された画巻があり、多くの写本が作られていく上で、重要な役割を果たした人物かもしれない。民俗学者馬場脩の寄贈による。
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