信玄は犀ケ崖(県指定史蹟)の北方に陣した。家康はこれを夜襲させたが、それほどの効果はなかったと思われる(三方原の戦については『大日本史料』第十編之十一・高柳光寿『三方原之戦』など参照)。なお伊場村(当市東伊場)次郎左衛門(岡部政定)は夜襲に加わり武功をたてたという(「浜松御在城記」『浜松市史史料編一』)。犀ケ崖は浜松駅から約二・五キロに所在し、東西約二キロ、幅約五〇メートル、両岸は絶壁で、深さ四〇メートル余である。【遠州大念仏】崖の上に宗円堂があり、両軍戦死者の霊をまつってあり、遠州大念仏の道場である。遠州大念仏については第七章に述べる。