この定書が意図しているところは、従来まちまちであった年貢(ねんぐ)・夫役(ぶやく)の制度を整理統一するとともに、古い体制や秩序を残したため知行人(地頭(じとう)・給人(きゅうにん))が農民に対して恣意な行動があったのを制限し、農民の地位の安定と自立を図り、しかも当時急迫した社会状勢に備えて領国の軍事体制の強化のため年貢を権力をもって確保するとともに、農民を軍役として徴収し知行人の農民支配に制限を加えることであった。
とくに、夫役が重視されていたこと(第二・四・五条)は、それが軍役と密接に関連していたからであり、ここに軍政と民政との不可分な状態がみとめられる。