浜松城築城当時の侍屋敷の設定については前節でふれた。その後の武家屋敷の形式に関する資料はすくないが、幸いに元禄期とみられる「御家中配列図」(青山家旧蔵)がある。浜松城と家臣団屋敷を詳細にえがいたもので、成立期の武家屋敷の実態を知り得る貴重な資料といってよい。
以下、本図によって成立期の武家屋敷の大体を考察する。これによってみると総軒数五百四十一戸、その分布状態は、浜松城を中心にして東海道往還筋の町屋をつつむように各所に配置されているのが目につく。つぎに便宜上これを七地域に分けて、その大要を述べよう。