連尺町加入の事情

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 宝永年間、困窮した旅籠町の庄屋が連尺町を役町に加えるように幕府へ願い出た。幕府は浜松城主へ願い出るようにといって、らちがあかないので庄屋は浜松へ帰った。ところが、浜松藩の家老は庄屋が幕府に願い出たことを「不届」としてつよく立腹し、町奉行は庄屋にたいし諸事遠慮すべしと申し渡した。そこで町方では、別の代表が再度幕府へ願い出た。道中奉行は願いをききいれ、連尺町の代表を江戸へ呼び出し、道中奉行役宅で両町話し合いの結果、加入が決まった。しかるに、幕府内にこの決定に反対の意見が出た。「私領」のことであるから幕府から申し付けることは「当たりさわり」がある、よって浜松城主へ願い出させるのがよい、というのである。そこで正徳二年に町方の者が江戸の浜松藩邸に願い出て、種々お尋ねの結果、連尺町の加役が申し渡されたのである。