検地の実施

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 【石高制】近世の土地評価単位は石高をたてまえとし、検地で算定された石高は幕藩制封建社会の根幹とされた。村も領主も石高で評価されたのが江戸時代であり、したがって検地は領主にとっても農民にとっても重大な関心事であった。石高は斗代(とだい)(反当りの収穫米量を斗で示す)によって算出されるが、近世前期の浜松地方の斗代の大勢は一一四ページ下表のとおりであり、いわゆる一つ下りが多く、また新田は低い。【元禄期】検地の実施は、近世前期(元禄のころまで)に励行され、とくに田畑屋敷の全体にわたる総検地は元禄のころまでにほぼ終了し、以後は新田その他部分的な検地にすぎなかったのである。このような傾向は次表のように浜松地方の検地についてもみとめられるのである。
 
(表)近世前期における浜松地方の検地実施の大勢一覧表・前半
実施年代村落名備考
慶長9伊場・和地・宇布見遠州総検地
11安間新田 
16北嶋・安間新田・大窪(大久保)・貴平 
寛永13安間新田 
正保3細嶋 
慶安元薬師新田・羽鳥 
2 検地条例(幕府)
5安間新田新田検地
承応2馬込・早出・恒武・笠井・新津・有玉・和地・入野・大瀬 
3北嶋・笹瀬・橋羽・丸塚・上新屋・西在所・上ノ郷・薬師 
4中田・佐藤・天王・下堀・天新田 
明暦元船越・馬込・茄子・天王・下堀・北嶋新田のみ(6村)
 大明神・大見・長命・白鳥 
2茄子一色・西・下飯田・船越・宮竹・上ノ郷・松嶋新田 
万治元大見・長命新田のみ
3笠井・細嶋〃〃
寛文元茄子・笹瀬〃〃
4中田 
5永田・白鳥 
6伊場 
7福嶋・中田・松小池・松嶋 
8西在所・上ノ郷・西塚・佐藤新田のみ(前半)
9和地・笠井・福嶋新田のみ
11恒武・下神増・中瀬・新堀・松木嶋・高薗・八幡・下小嶋・壱新田のみ
 貫地・永嶋・倉中瀬・中野・中野嶋・蝋燭・上嶋・上小嶋・新(中瀬以下)
 野・三家・上神増 
12和地新田のみ
延宝元永嶋・三家〃〃
2恒武〃〃
3薬師・有玉下・伊場 
4橋羽・和地・都田新田のみ
5宇布見 
7有玉下・永田新田のみ
天和2下堀〃〃
元禄元上ノ郷〃〃
2新堀・松ノ木嶋・高薗・八幡・下小嶋・壱貫地・永嶋・倉中〃〃
1.「随庵見聞録」「有玉村高林家諸用記」『浜松市史史料編二・三』・「国領組諸色覚帳」『岡部家文書』その他採訪しえた村方の検地帳・古記録によって本表を作製した。
2.初期の部分には浜松藩領以外の若干の村が含まれている、とくに幕府検地は浜松藩領創出の前提であった。

(表)近世前期における浜松地方の検地実施の大勢一覧表・後半
実施年代村落名備考
元禄2瀬・中野・中野嶋・蠟燭・上嶋・上小嶋・新野・三家・下神増・上神増新田のみ
  〃〃
3船越・茄子・細嶋〃〃
4上新屋〃〃
5大明神〃〃
11中瀬〃〃
宝永6大久保〃〃
正徳2西塚・中瀬・松木嶋・下小嶋・壱貫地・永嶋・上小嶋・新野・三家・有玉下〃〃
  〃〃
享保11 検地条目(幕府)

(表)近世前期浜松地方の斗代(石盛)
年代検地帳村名上田中田下田上畠中畠下畠屋敷備考
慶長9大崎村1211109769分米より算出
慶長16北嶋村 111098712 
大窪村12111098712分米より算出
承応2有玉畑屋村12111098712 
新津村 
承応3北嶋村   98 12 
明暦2下飯田村12111098712本田
8767658新田
西村12111098712 
茄子一色   54310皆畑の村
寛文7福嶋村 767659新田
頭陀寺村12 109 712『静岡県史料』
寛文9福嶋村765    新田
宝永6大久保村(大窪村)  7  56新田
享保18早出村1211109 712