井上正定

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 二代目の正定は在城中に奏者番となり、ついで寺社奉行を兼任した。【井上正甫】三代目正甫(まさもと)のときに陸奥棚倉へ移封となったが、同家の子孫は幕末に浜松城主にもどったのである。三代六十年の井上氏は、浜松城主としては定着度の高いものとして注目されるが、その間の施政は不明である。文化十四年九月、領民たちは正甫の棚倉所替取り止めを懇願し(後述第六章)、明治元年には浜松領二百八か村は井上氏の永城歎願書を提出したが(第四章)、その中で入封した宝暦年中から転封にいたるまで井上氏は「居城中深撫育領民安堵仕居候」と記しているのは興味深い。

松平信祝筆懐紙(浜松市鴨江 渥美静一氏蔵)


本庄松平氏略系