姫街道の名称

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 【三つの説】姫街道のいわれにはいろいろの巷説がある。その一つは婦女子が取調べの厳しい今切関所をさけて本坂道をえらんだから名づけられたというのである。しかし、気賀関所の取締りは今切関所となんら異なるところはなかった。その二は舞坂・新居間一里にわたる今切渡船の湖上の危険をさけたためというのであるが、土地の諺にも「鳶も舞坂、天気も静か、名のみ荒井の舟渡し」というくらいで、平日は婦女子でも決して不安の渡しではなかったはずである。また今切という言葉が婦女子にとって縁切れに通ずる不吉のひびきがあるので、本坂道をえらんだから姫街道と呼ぶようになったともいわれている。強いていえば、この説がもっとも当を得ているのではなかろうか。