掛塚湊と榑木

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 しかし、掛塚湊の積出しでもっとも特徴のあるものは榑木(くれき)で、これは米のかわりに納める年貢であって、穀類の穫れない山村で年貢を木材で高一石につき榑木何挺と定めて納めた租税である。これに用いる木材はおもに椹(さわら)を以て御定木としほかに檜・杉などであった。【天竜川】こういった榑木が管流(くだなが)しによって天竜川を下り、船明・日明両岸で一旦集積され、ここで材木を筏に編み、筏送りによって川口の掛塚湊に到着するのである。その筏一艘の材木数は木材の長さや太さによって差異があり、時代によっても多少の変化はあるが、大体長筏木五百挺を以って筏一艘とし短筏木は七百五十挺ずつを以て一艘としていた。