町の景観

222 ~ 223 / 686ページ
 御役六町を中心とする繁華街にはさすが瓦葺家や倉庫も見られたが宿の周辺部には藁葺・板葺の家々がならび、町幅はせまく屈曲も多く雑然としていた。「遠州浜松広いようで狭い、横に車が二挺立たぬ」とは、そうした町屋の姿をうたったものだという。
 東海道筋でも町裏はすぐに畑があり青田・蓮池がつづくという具合であった。田町・池町・下垂町(しもだれちょう)や平田町(なめだちょう)の名は、このような低地に発達した町の沿革を想像させるに十分である。大田南畝(おおたなんぼ)が旅籠町の本陣で蛙の鳴き声をきいた話はすでに述べておいた。

宿の中心部 伝馬町付近 浜松御城下細見絵図 部分(浜松市鴨江 渥美静一氏蔵)


宿の周辺部 新町付近 浜松御城下細見絵図 部分(浜松市鴨江 渥美静一氏蔵)