【早出村の村入用】これは早出村の一年の入用を細目ごとに書きあげて年末に集計し、村民全部に割りあてたものである。その支出の内容をみるとじつに種々雑多で(別表)、項目は三十一項にわたり総入用は九十貫八百三十二文となっている。このうち村に所持馬がないので、助郷とか津出し米の搬出には借馬しなければならなかったのでその費用が総入用の二六%を占め村の大きな負担となっている。
つぎに割付け方法であるが、村高四百九十石余から検地引・定引・氏神寺院高掛り引きを除いた四百六十八石余に対して、一石に付百九十文の割で、村の総戸数百三戸を基準として各人の持高に応じて割付けるいわゆる高割の方法をとっている。最高は庄屋八左衛門の高五十四石余で十貫五百三十四文、最低は七蔵の高三升の六文である。一戸当りの平均八百八十文、換算をすると高四石六斗ぐらいになる。
なお、割付けを担当するのは、庄屋・組頭・長百姓であった。
帳面をみると、戸ごとに受印をとり、そのあとに庄屋・組頭が連判して誤りのない旨をのべ、藩役人の検閲をうけ奥印をもらっている。
これは早出村の一例にすぎないが、これによって当時の町村の自治活動のおおよその推測ができる。
銭項目 | ||||
3 | 貫 | 100 | 文 | 千石夫給代 |
850 | 御高札修覆入用 | |||
5 | 072 | 池田渡船舟賃 | ||
4 | 800 | 秋葉月代参 | ||
2 | 524 | 宗旨帳筆墨紙書賃共 | ||
700 | 作場道杭木代 | |||
2 | 000 | 伊勢御初尾 | ||
14 | 800 | 大助役村方ニ馬無御座候ニ付他村ニテ借馬賃代 | ||
100 | 津出し才領小遣 | |||
4 | 000 | 年中筆墨代 | ||
300 | 勘定之節油代 | |||
2 | 000 | 勘定之節賄代 | ||
100 | たきすみ代 | |||
200 | 御蔵納之節才領小遣 | |||
200 | 勘定之節薪代 | |||
45 | 御蔵箕筵代 | |||
500 | 御触次給代 | |||
800 | 浜松宿礼 | |||
672 | 御蔵番給代 | |||
1 | 472 | 庄屋組頭浜松江御用ニ而罷出之節年中昼賄代 | ||
2 | 200 | 往還定掃除雇代 | ||
700 | 堰番給 | |||
700 | 用水入用枯木笹竹急成節 | |||
9 | 600 | 参持給 | ||
750 | 御年貢升取 | |||
3 | 200 | 田畑請作取入之節番給 | ||
9 | 600 | 氏神御供料 | ||
玉伝寺法盛庵茶湯料 | ||||
御年貢 | ||||
5 | 000 | 正五九月日待入用 | ||
11 | 000 | 津出シ馬村方ニ無御座他村ニテ雇賃 | ||
3 | 000 | 津嶋御初尾 | ||
980 | 諸奉賀 | |||
90 | 832 |