町村の財政

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 では、町村の財政はどのようであったか。これを早出村の宝暦七年(一七五七)十二月の「村方諸入用割合帳」によってみよう(『川井文書』)。
 【早出村の村入用】これは早出村の一年の入用を細目ごとに書きあげて年末に集計し、村民全部に割りあてたものである。その支出の内容をみるとじつに種々雑多で(別表)、項目は三十一項にわたり総入用は九十貫八百三十二文となっている。このうち村に所持馬がないので、助郷とか津出し米の搬出には借馬しなければならなかったのでその費用が総入用の二六%を占め村の大きな負担となっている。
 つぎに割付け方法であるが、村高四百九十石余から検地引・定引・氏神寺院高掛り引きを除いた四百六十八石余に対して、一石に付百九十文の割で、村の総戸数百三戸を基準として各人の持高に応じて割付けるいわゆる高割の方法をとっている。最高は庄屋八左衛門の高五十四石余で十貫五百三十四文、最低は七蔵の高三升の六文である。一戸当りの平均八百八十文、換算をすると高四石六斗ぐらいになる。
 なお、割付けを担当するのは、庄屋・組頭・長百姓であった。
 帳面をみると、戸ごとに受印をとり、そのあとに庄屋・組頭が連判して誤りのない旨をのべ、藩役人の検閲をうけ奥印をもらっている。
 これは早出村の一例にすぎないが、これによって当時の町村の自治活動のおおよその推測ができる。
 
銭項目
3100千石夫給代
  850 御高札修覆入用
5 072 池田渡船舟賃
4 800 秋葉月代参
2 524 宗旨帳筆墨紙書賃共
  700 作場道杭木代
2 000 伊勢御初尾
14 800 大助役村方ニ馬無御座候ニ付他村ニテ借馬賃代
  100 津出し才領小遣
4 000 年中筆墨代
  300 勘定之節油代
2 000 勘定之節賄代
  100 たきすみ代
  200 御蔵納之節才領小遣
  200 勘定之節薪代
  45 御蔵箕筵代
  500 御触次給代
  800 浜松宿礼
  672 御蔵番給代
1 472 庄屋組頭浜松江御用ニ而罷出之節年中昼賄代
2 200 往還定掃除雇代
  700 堰番給
  700 用水入用枯木笹竹急成節
9 600 参持給
  750 御年貢升取
3 200 田畑請作取入之節番給
9 600 氏神御供料
    玉伝寺法盛庵茶湯料
    御年貢
5 000 正五九月日待入用
11 000 津出シ馬村方ニ無御座他村ニテ雇賃
3 000 津嶋御初尾
  980 諸奉賀
90 832