西嶋村と浜松肴商人

276 ~ 276 / 686ページ
 これらの漁村のうちで、とくに西嶋村は網繰網猟がさかんで「西嶋村網繰網之事」(「浜松宿古来書留」『浜松市史史料編二』)によると、元禄十六年(一七〇三)当時に同村では網繰網引船が四艘あって肴町商人が管理し、漁猟のあったときには肴町商人が「西嶋村へ罷越候而相対にて直段仕買取」って町へ運び塩方奉行へ報告をすませ商売をした。そのとき魚値段の十分の一をまとめておき運上銭として年末か翌年正月に上納したのであった。その運上は元禄十五年十二月に鮗(このしろ)一束に付三百七十六文を納付している。【他売禁止】しかし文化二年(一八〇五)六月に西嶋村漁民が肴町の由緒を無視し掛塚村へ売ったとして肴町と訴訟事件がおきている。
 【初鰹献上】肴町商人は遠州灘の初鰹を毎年領主へ献上するのが例であった。