浜松の職業

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 近世後半期に発達した浜松地方の商品貨幣経済は、浜松城下町を基盤とする領主的商品経済と在郷に新しく発達した農民的商品経済とに一応分けて考えられる。とくに後者の躍進は遠州木綿と称された木綿織物からも知られ、その政治経済社会文化的意義の大きかったことは今まで述べてきたとおりであったが、このような経済事情にあった浜松の町方はどのようであったか。
 【男日雇 女糸とり】天保十四年(一八四三)の『東海道浜松宿大概帳』(『浜松市史史料編三』)に「此宿、男ハ日雇に出、女ハ糸をとり機織足袋をさす。其外仕馴たる手業なし」とあるが、そのうちの板屋町を例にとって述べよう。

浜松宿新町町並図(浜松市立図書館蔵)