板屋町の場合

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 板屋町は新町(しんまち)(もとはかや屋町といって馬込村から分かれて町並となった)とともに浜松宿の東はずれの東海道筋に発達した町で、もともとは旅人相手の物品をひさいだりして渡世をした町であった。【戸数人口】それが天保十四年の「板屋町町内諸職并渡世向人御改帳」(板屋町『市川文書』)によると、当時戸数百三軒、人口三百九十八人(男二百人女百九十八人、一戸平均三・八人)で、その職種別は三〇一ページの表のとおりである。【職業別】すなわち職人関係の職種が二十一種類の五十軒、商人関係三十三種類の六十三軒、どちらへもはいらない雑が六種で二十軒、合計六十職種で百三十三軒の多岐にわたっている(ただしこれには副業軒数も含む)。
 【職人層 商人層】職人では「見付甲掛(みつけこうかけ)、浜松足袋(はままつたび)」といわれた足袋縫・足袋仕立職が多く諸細工職がこれにつづき、商人では在方穀類買出商が目立ち小間物商・足袋屋商売がこれにつぎ、雑業では日雇挊(かせぎ)が他をひきはなって多い。町の長さ二百間余、町幅四間三尺のせまい地域にこれだけの職業の家々が雑然と生活していたのである。町役人三人のうち二人が商家出身で、また下男下女を置き有福と思われる七軒のうち五軒は木綿関係の職業に従事している。そして商人関係の職種が五五%で軒数でも六六%を示し最多をしめている。しかも近郷の農村の生活と密接な関係がある職業が多い。
 
職人関係(人)商人関係(人)雑(人)
左官職2小間物商5百姓2
足袋縫職10荒物油商1修験1
鋳物職2荒物材木商1日雇挊14
大工職4荒物織物商1前百姓1
鍛冶職3刻莨商2問屋御用小使1
腰物細工職1足袋屋商売4商人荷物継立1
機織職1荒物小間物商1  
櫛笄細工職1綿商売1  
白銀細工職1木綿足袋商1  
鍬鎌鑢細工職1青物干物商1  
傘細工職1鍋釜商売1  
塗師職2穀物商売1  
髪結職1菓子商2  
下駄細工職1饅頭商1  
足袋仕立職12居酒商1  
桶職2荒物紙商1  
縫箔職1墨筆商売1  
莨刻職人1木綿綿商売1  
下駄鎌鑢細工職1在方穀類買出17  
線香細工職人1豆腐商売1  
飴菓手細工1焼麩商売1  
  荒物穀類商布屋1  
  古着商売布屋1  
  質屋1  
  醤油酒商売1  
  飴菓子小売1  
  青物荷売1  
  飴菓子5  
  綿商売1  
  木綿繰綿商1  
  醤油商売1  
  荒物商2  
  古手商1  
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