[収奪にあえぐ浜松領]

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 忠邦は「青雲の志」を達し政権の掌握に成功したが、その目を見張るような政治活動の背後には強力な資金を必要とした。上方の豪商から金を借りることにも限度がある。いきおい財源は主として藩の収益によるしかない。これはわずか七万石の小藩としては過重の負担であり、このため常でさえ不足勝ちの藩庫はいよいよ窮乏し、在藩の家臣は絶えず藩費の捻出に強奔しなければならなかった。そして、このしわよせは当然浜松領民への苛酷な収奪となってあらわれたのであった。