海辺之村々に法度

337 ~ 337 / 686ページ
 海防は藩士と農兵隊(足軽隊)だけに任せておけば足りるわけではない、士民一体となり国土を挙げて防衛にあたるという建前から「海辺之村々に示す法度」を発布する計画を立てている。
 これによると遠見番所を管理する村々は、異国船を発見したら寸刻を争って報告すること、漁船川船の現在数を平素確かめおき異動あらばただちに報告すること、急の場合は一般男子も農兵隊の「列に組入」れるが、それでなくてもその村の庄屋組頭宅に出頭し待機してみだりに他動しないこと、変があればその村の民家を仮設の陣小屋に指定する、そして婦女子老幼は他村の寺院や庄屋宅に村役人が誘導して待避させることなどを規定している。
 いずれにせよ、藩はこのような法度のもとに全領民を把握し、その指揮令下におくことによって士民一体の姿をもって海防にそなえようとしたのであった。