井上藩政と台場

358 ~ 358 / 686ページ
 以上のように海岸砲台建設の経過をみると、はじめは軍役として一方的に人足を徴発する計画があったのにたいして、二、三年後には軍役をやめて、家中で築造し、それに町方・村役人・神主らが若干の協力をしたのにとどまったこと、また一般農民がほとんど直接助勢した様子のないこととともに、一般農民にいたるまで台場建設協力への自発的意志が尊重されたとみられることは、井上藩政のあり方として注目すべきことと思われる。