一揆の影響

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 表面上この一揆は完全に失敗に終わったのであろうか。彼らの闘争の仕方では、地主層を擁護する藩権力を決定的に動かすことはできなかったが、重い処罰を覚悟で立ちあがった小作人一般農民たちのこのような動きは、小作料を減額させるなど、その他村に大きな影響をあたえたことと思われる。小前惣代は全員処罰されたけれども、小前の代表と村役人との間で年貢勘定が急がれ、二十四日にはこれが完了したことを代官所に報告している(『高林家日記』安政六年二月二十四日条)。【倹約議定書】それとともに昨年来、村役人と小前一同との間に話しあわれてきた倹約議定書もとりかわされた(『高林家日記』安政六年二月二十三日条)。こうして処罰された小前惣代を許されたい、と村役人・村方一同から願い出た。三月二十日までには年貢の徴収もほとんど完了したようである。小前惣代へのとがめも、このころには解かれたものと思われる(『高林家日記』)。