(1)火の元に注意し、昼夜の別なく頻繁に見廻ること。(2)諸物価・銭相場を上げないこと。(3)一行の通過の折、食物類その外の品物を商店が見苦しくないように並べておくのはかまわない。(4)通過の道筋にある店が短いのれん、小さな看板類を出すのもかまわない。(5)御本陣が二階から見える家は二階に目かくしの塀を建てること。(6)通過の道筋にある家では二階に上ってはいけない、窓は戸を閉めておくこと。(7)将軍一行の宿泊中、鐘・拍子木を打ってはいけない。(8)通過の道筋の神社にある額、供養塔の類は片付けなくてよい。(9)通過の道筋にある便所は簀板の類で囲むこと。(10)掃除人足らは一行の通過の際は、なるたけ遠くに離れて地面に平伏のこと。(11)問屋場の人馬ともに目ざわりにならないよう役人たちは厳重に注意すること。(12)将軍が宿泊する場合、旅行者は一切宿場に泊めてはいけない。旅行者の通過もいけない。諸大名の火急の飛脚等も、大名の姓名を糺し、藩役所の差図をうけること。(13)一行の到着が万一夜になった場合は、街道の家ごとに掛行燈・提灯の類で道を照らすこと、ただし町方については裏町でもすべて道を照らすこと。(14)通過にあたって雨天等で道路の悪くなるところは、その最寄に籾糠を用意しておくこと。(15)牛馬をものにつないでおくこと。犬猫の類も前もって遠方にやって邪魔にならないようにすること。(16)気狂いのいる家は、随分注意して五人組も入念にこれを世話すること。(17)一行通過の当日は農業・漁業など、すべて停止すること。(18)東海道の両側が田畑ばかりの所で、東海道より横道のある場所には、その村より村役人の代理を出して、交通止めにすること。用事のある者は通してもよい。(19)猟師鉄砲、鳥をおどす鉄砲もうってはいけない。(20)子供が遊びの凧をあげてもいけない。(21)将軍一行が通過する節は、家内子供まで土間に下り平伏していること。(22)一行の荷物を運ぶ継人足や子供まで流行歌をうたってはいけない。すべて高声を出してはいけない。(23)御供の方々にもすべて無礼がないよう気をつけること。(24)一行の御供から、道のりや方角など聞かれたとき、まじめに答えること。(25)将軍一行の通過する節は役人でも刀をささないこと。(26)人馬については壱人壱疋も不足のないよう宿役人は入念にあつかうこと。(27)人馬は遅刻しないこと。(28)人足たちは口論はもちろん粗暴のことがないよう厳しく申しつけること。(29)一行の通過当日は朝から煙を立ててはいけない。(30)僧侶・神官が将軍の目にとまるような近くに出てはいけない。(31)神社や寺院の勤行の際、鉦太鼓の類を鳴らしてはいけない。(32)男女とも盲人は一行の通過の道筋に出てはいけない。(33)塩硝の売物があればお泊りになる三日前までに遠くはなれた家に預けること。