八重葎

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 ところで自隠の長滞在には、一碗の麦飯を旅人にほどこしたので麦飯長者といわれた同村の小野田五郎兵衛(久繁)の庇護があったのではなかろうか。『八重葎(やえむぐら)』上下二巻は白隠の著として知られているが、上巻が宝暦九年五郎兵衛の喜捨による版行であることからも推察ができる。