仏教界の沈滞

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 僧侶の生活は一般に経済的に恵まれ、村民に比して教養もあり、その徳望をもって村の指導的地位を占めるものも少なくなかったが、中には僧侶の使命を忘れて遊惰安逸に流れ、村民のそしりをうけるものも現われた。
 入野村(当市入野町)の竹村広蔭はこれを歎いて、文化年間には寺へ女性が入りこんだだけで村民が寺をとりかこむというさわぎがおきたが、近ごろでは妾を置くことも公然となって「寺々気随気儘勝手次第ニ相成」り「寔に出家之極楽と言世の中と相成」(『変化抄』)つたといっている。