【遠江国風土記伝 日本紀類聚解】真竜の生涯は『遠江国風土記伝』の完成と、『日本書紀』の調査研究に明けくれた。『遠江国風土記伝』は彼が五十歳ころから十年間を要して寛政十年に完成されたが、資料集めのため遠江各地を旅行している。主要な資料としては『袖浦記』『曳駒拾遺』『随庵見聞録』『遠江誌』『凞庵遺書』等がある。さらに真竜は天明六年正月、門人らを従え、出雲旅行に出て四月帰国、その紀行文が『出雲日記』であり、翌年『出雲風土記解』三巻の執筆となった。これの素地によってできあがった『遠江国風土記伝』は全十三巻から成り、国中十三郡、毎郡郷村・山川・原野を説き、伝説や旧記によって註記している。この風土記は完成後一年余の短時日の間に遠州各地の神官辛村役人層十三名に書写されていった。