竹村方壺

551 ~ 552 / 686ページ
 蝶夢は富士を見るため天明六年(一七八六)春の末に、遠州白須賀(しらすか)の虚白を訪れ、その案内で入野(当市入野町)の竹村方壺(ほうこ)を訪問、佐鳴湖(さなるこ)西岸の臨江寺(りんこうじ)に逗留したが雨のあがるのを待ち、方壺の案内で浜名湖めぐりをした。
 【とほつあふみの記】斗六・報竹・虚白とともに舟で舞坂・新居を経て、浜名の橋の旧蹟・鷲津の本興寺に参詣した。さらに入出の正太寺にのぼり瀬戸・礫島(つぶてじま)・舘山寺とまわっている。蝶夢はこの紀行に、浜名の橋・橋本の里等について『更級日記』『東関紀行』『吾妻鑑』等に記されている昔の話や古歌を引いて『とほつあふみの記』を著わし、同年秋、方壺はこれを出版している。