五社の絵画と彫刻

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 このうち五社の本殿について述べると、建物は内外とも漆塗にし、外部は朱、内部は蝋色でいずれも布着せの最上塗であり、彩色は金箔金泥岩もの絵具がもちいられていた。天井・欄間(らんま)・壁・琵琶板は金地に極彩色をほどこし花鳥または瑞雲が描かれ、ことに内陣胴板には鳳凰(ほうおう)と折花をえがいた壁画は桃山風のきわめて優美なものであった。彫刻は写実風籠彫り生け彩色あるいは爪箔彩色で、金具は打出し毛彫模様入鍍金仕上げである。
 こうした彫刻・絵画は優れた人々の手によって成されたと思われるが、作者についてはその氏名を知る由もない。ただ壁画(鳳凰と折花)は狩野山楽(一五五九-一六三五)あたりの筆であろうと伝えられている(吉岡勇蔵「浜松五社神社御由緒並に建築について」『静岡県郷土研究』第十二輯)。

五社神社拝殿正面欄間彫刻