【月湖 蘭陵 鴨渓 弘道 文明】つぎに文晁の門人についてしるすと、掛川の大庭月湖・山田蘭陵、見付(磐田市)三宅鴨渓、吉岡(掛川市)村松弘道、井通(磐田郡豊田村)大橋享斎、豊西(当市恒武町)小栗文明などがあり、村松以弘も月僊に学んだのち文晁に師事している。
【以弘】以弘(一七七二-一八三九)は掛川宿に生まれ名を滝吉、号を笠斎といった。月僊・文晁に学んだのち掛川侯のお抱絵師(かかええし)となり、福田半香(はんこう)・平井顕斎(けんさい)をはじめ僧思玄・熊谷青城(くまがいせいじょう)・小栗松靄(おぐりしょうあい)など多くの門弟を指導した。天保十年六月十四日没。
【延香】また掛川の大庭松風(一七六〇-一八四四)は名を代助延香、別号を松風亭蘭畹という。大庭家は代々代助と称した豪商で松風は九代目を襲名し、その財力と松風の風雅にまかせて蒐集した名画名幅および応挙・文晃をはじめ東海道を旅した文人墨客が大庭家に逗留して書いた書画・詩歌など多くの作品が残されている。弘化元年八十五歳で没した。