初凧

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 浜松地方には、長男が生まれた場合、端午の節供に「初凧」といって、凧を揚げてもらうという長い間の風習がある。このときの凧は母の実家から贈り、絵は家紋・鶴亀などで、なお親戚や知人または町内の若衆からも贈ることがある。贈られた家では糸を用意して若衆連に揚げてもらい、晩には「凧おろし」といって、その家から酒肴を出す。これは長男の無事成長と出世を祝うものである。この民俗行事は、江戸時代中期以後に普及されたものであろう。

凧御触読聞受印帳(浜松市鴨江 渥美静一氏蔵)